File 1「コード No.538」

強化装甲<ウィルウェア>を使用した金塊強奪事案が発生。
警察庁警備局第五特別公安課第三機動強襲室第八係──通称<ダイハチ>に出動要請が下った。室長・山吹凛の指揮のもと、ウィルウェアを装着して出動する瀬名と黒騎。目まぐるしく変化する状況の中、新たに配属された若き警部補・花咲里あさみが見た<ダイハチ>の実態とは!?

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〜 用語集 〜

あさみの口癖
幼少時からその才能の片鱗を見せていたあさみは、日本の教育システムになじめず、海外の優秀校に通っていた。そのため、言葉の端々に英語をはじめ各国の言葉が出てくる。例えば「Done」は「終了」を意味する一方で、「よろしい」といったニュアンスもある。
第五特別公安課第三機動強襲室第八係
過去の名称は「特別公安第五課第三機動強襲第八係」だが、ウィルウェア犯罪全体を広域的に統括する部署として格上げされ、「特別機動強襲室」が新設された。その際に、通称となっている部隊番号もそのまま引き継いでいる。
ウィルウェア
日本国内では大学や企業を中心に、人間の身体機能を拡張したり増幅するシステムが研究されていた。主な用途は介護などで、ゆるやかなペースで実用化が行われていた。やがて流砂化した東京での救助活動や復興にこのシステムは有効であることがわかり、一挙に発展する。これがウィルウェアである。同様のシステムは海外でも研究が行われていたが、日本のように最初から民生用ではなかったので、普及が遅れている。
アクティヴプロジェクト
凶悪犯罪に対応するために、世界各国で協力してウィルウェアを装備した警察部隊を作り、それを運用させるための計画。Armored Combined Tactical Intelligence Vanguard Element(装甲複合戦術諜報前衛部隊)の頭文字を取って命名された。プロジェクトの発足は、日本で急速に発達したウィルウェアに諸外国も興味を持ち、自国への導入を打診したことがきっかけだった。しかし、日本では元々民生用として開発されていたこと。また、どこか一か国だけが先んじて導入することで、近隣諸国の脅威となるのを防ぐために、世界各国で共同導入が探られているのだ。
役職名について
係長(舩坂):階級は警部、または警部補がなる役職(所属する警察組織によって異なる)で、現場に行くよりも現場指揮を行う立場が多い。
室長(凛):機動強襲室の長であり、警視正がなる役職。通常は、警視正にはキャリア(幹部候補生)組でも、採用後15年以降でなければなれなかったが、東京の泥濘化とウィルウェア犯罪の増加に伴い、機動強襲室が設置された際に、特例として能力重視で山吹凛が室長に任命された。それに伴い、階級も警視正に異例の昇進が行われている。
警部補(黒騎):小規模の行動単位の長となる階級。現場責任者や交番の所長になる。ただし、キャリアの場合は、この階級からスタート。
巡査部長(はるか):最下級の巡査から、ある程度の経験を積んで昇進試験に合格するとなれる階級で、実働部隊の主力。但し、専門技能によって採用された場合は最初から巡査部長とする場合もあり、ウィルウェアの操作やそのオペレートも専門技能であり、通常よりも一階級上でスタートする。
都バスのLED表示
バスなどの公共交通機関には、行き先や路線などを表示する方向幕があるが、その名の通り昔はフィルムなどで作られた幕であった。しかし、LEDが使用されるようになると、視認性も向上し、また表示される内容も多くなった。さらには、通常の表記以外に「回送」や「乗降中」、そしてトラブルが発生した時には「緊急事態発生」なども表示可能となっている。
協会
ウィルウェアは、国内外の多数の企業で開発、生産されているが、国外では軍事利用されていることもあり、日本国内では安全使用のために、メーカー同士で出力や用途の自主規制が行われている。そのために、各メーカーの新機種が自主規制に適しているかを審査し、また一定以上運用する企業などでウィルウェアが正しい使い方がされているかを確認する、監査官を派遣するための機構として、「協会」が作られた。正式名称は、特定非営利活動法人ウィルウェア審議協会。
支店
都道府県警察の本部を秘匿名称として「本店」と、それに対応する各警察署を「支店」と称している。
アクチュエータ
「作動装置」「駆動装置」と訳すこともあるように、エネルギーを物理運動に変換する装置を指す。電気を回転運動にするモーターや、油圧や空気圧を直進運動にするシリンダーなどが分かりやすい。
超振動
超音波振動を刃物に与えると、刃物自体が伸縮し、刃物表面の接触抵抗が減少する。また、振動によって振幅は小さくても高速で刃物が対象に接触すると、切りにくいものが効果的に切断できるようになる。それだけではなく、対象物の固有振動数に近い超音波を当てて共鳴を発生させ、連続した振動によって対象を分解させる。
遊星重工
主に、各種工業機械の製造を行っている会社で、土木工事用機器に強い。ウィルウェア用アタッチメントは開発していないが、その信頼性の高さと低コスト性から、違法改造でウィルウェアに取り付けられることもある。
オータムグループのIWシリーズ
ウィルウェアを開発しているメーカーの一つ。その中でもIWシリーズは建築用、土木用として、頑丈かつ大出力なタイプが中心となっている。ただし、その出力の大部分をアームと機体保持に配分しているので、速度は遅い。
オスカー
「ダイハチ」が使用しているウィルウェアの無線符丁。綴りは「Oscar」で、これは他の部署が順にAから符丁が付いており、15番目なので「O=Oscar」となっている。
インナー(ユニット)
ウィルウェアを装着するためのインナースーツ。電動強化スキンスーツがベースになっており、それ単体である程度のパワーアシストと、最低限の生命維持装置が組み込まれている。
セロ柏木とマリアーノ・エドラリン・田中
関東平野における第三次流砂現象からの復興のため、多大な労働力が必要となった。しかし、日本国内からだけでは人材が不足していた。さらに日本近隣諸国の情勢不安によって、海外からの移民が一挙に増大する。セロ柏木は南米方面から、マリアーノ・エドラリン・田中はフィリピン方面からの移民だと考えられる。当初は日系人が多数いる地域からの移民が中心だったが、のちにそれ以外の地域からの流入も増えている。
ドローン
警察活動においては、警察官が危機にさらされたり、逆に警察官の過剰行動などが発生する場合がある。特にウィルウェアは強力な力を持っているので、被疑者が負傷することも珍しくない。それゆえに警察側の行動が適切なものであったかを確認することが、民間団体から強く申し入れがあった。そこで、ウィルウェア本体に内蔵されたカメラ以外に、その後の審議用に一連の行動を収録するドローンの運用が開始されつつある。また、これは客観的な資料として、裁判の参考として使用されることもある。
シュトルヒ
1936年に初飛行した、ドイツ空軍向けの偵察・連絡機である、Fi156シュトルヒのこと。シュトルヒとは「コウノトリ」の意味。短距離離着陸性能に優れており、テニスコート程度の広さの場所に着陸可能だった。その便利さから、戦後もドイツで自家用機として生産され、またドイツ以外の国でも類似の機体が作られた。
泥濘化地帯
東京東部の地下水位の急激な回復により、河川敷や埋め立て地を中心に大規模な液状化現象が発生。更には堤防の破堤によって、隅田川と江戸川に囲まれた地域が水没し、居住が困難となった。この地域を泥濘化地帯と呼んでいる。
秘密クラブさっぽー
特殊な性癖を満たすための会員制の秘密クラブらしいが、古代ギリシアの著名な女性詩人に因んで命名されたという。因みに詩人の名は、英語表記ではサッフォーとも。
破砕衝角震電砲
衝角とは、角状の物体を艦船の水線下前方に取り付け、相手に体当たりをして破壊することを目的とする兵器を指す。破砕衝角震電砲はその名称から、電気的に何かを振動させ、目標に衝撃を与えて破壊する投射兵器と考えられる。

各話あらすじ

Introduction - イントロダクション

第三次流砂現象によりその一部が泥濘に沈んだ東京。
復興作業用に作られた、高出力・強化装甲<ウィルウェア>を使った犯罪の増加に対処すべく、警察庁警備局は、その吉祥寺分室に第五特別公安課第三機動強襲室第八係──通称<ダイハチ>を新設した。様々な法的制約としがらみに縛られながら、知恵と勇気と口八丁で凶悪事件に挑む若者達(一部を除く)! 決裁完了、出動せよ!!

Story - ストーリー

花咲里あさみ警部補、本日付で警察庁警備局吉祥寺分室、第五特別公安課第三機動強襲室第八係に配属されました! 私の任務は、増加するウィルウェア犯罪に対し有事に備えて実験的に創設されたこの<ダイハチ>の実態を把握し、存続するに相応しいか見極めて上に報告すること。でも真の目的は、私の手で正義の集団に更生させることよ! こんな強引で、アバウトで、行き当たりばったりで、正義なきやり方、私は絶対に認めません!!