File 6「逆襲のルドラ」

新宿に突如現れた巨大怪獣ルドラが、解体中の旧都庁に襲いかかる。何者かが3Dプロジェクターの映像と連動させ、旧都庁を爆破したのだ。これを知った瀬名は、自ら捜査に乗り出す。

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〜 用語集 〜

PS
「Police Station」の略で、警察署のことをさす警察内部での略語。新宿PSは新宿警察署のことを指している。
歌舞伎の見得
歌舞伎の演者が連続的な動きを見せている中で、一瞬止まったり、流れのテンポを変えるように全身を使って大きくポーズをとること。そこが演ずる人物の感情の高まりの頂点など、注目するべきところだと強調して表す演技上での技法である。
外連味(けれんみ)
元々は歌舞伎の演出において、観客の気を引こうとするために用意された、大がかりで奇抜な演出をこう称した。この言葉が一般に広がり、はったりを効かせたり気を引くことに意識を集中させることで、何かをごまかしたりしようとすることを、外連味と言うようになった。前項の「見得」とあわせて、角山博満監督が、日本文化の代表格の一つである歌舞伎の技法を、自らの映画作品の中に取り入れていたと理解できる。
鬼籍に入られた
仏教では、人は死後、鬼の持つ籍(冥界の住民票のようなもの)に記入されるとされている。このことから、誰かが亡くなったことを、丁寧に表現する場合に用いられている。つまりエミリアは、角山博満監督がすでに亡くなられていたことを、丁寧に敬意を払いながら述べたことになる。
マエストロ
主にイタリア語で、芸術家や専門家を誉め称える意味合いで付けられる敬称。ポーランド人のエミリアが角山博満監督をマエストロと称したということは、同監督が海外においても芸術家として評価されていたことを表している。
怨讐の地を灰燼に帰す
「怨みをもち、仇(かたき)をとりたい場所を、跡形もなく焼け野原にする」という意味。怪獣ルドラが、恨みを持つ東京を焼け野原にする、と表されていたと読み取ることができる。
クールジャパンを海外に
日本政府は、従来からの日本文化や日本国内で創出される作品が海外への訴求力が高く、特にアニメや特撮等の映像作品、マンガや若年層向け小説、各種ゲーム等での国際市場における規模拡大、並びにそれらを前面に押し出してのインバウンド拡大が見込めるという見地に基づき、クールジャパン構想を打ち立てた。しかし、コンテンツの制作を行う現場の処遇は決して良いものではなく、海外のクリエイターやファン達から、「どうして、日本のクリエイター達は、そんな劣悪な処遇の中で耐え、そして、素晴らしい作品を生み出せているのか?」との疑義とも言える声が上がってもきていた。ひとえにそれを支えているのは、それらの作品を愛し、創作することを愛しているが故に、その環境を耐え忍んでいる数多の制作関係者と、その作品を愛するファンがいるからに他ならない。だが、労働問題としてとらえた場合、経営的には高価値な商品を安価で生み出せることを求めるのには一理あると言えるが、中長期的に言えばその商品が芽吹き、育ち、実を付ける土壌を痩せ細らせてしまうことにつながることを重々踏まえておかなければならない。莫大な予算を、上位企業群だけが利益を得るクールジャパン『関連』事業に投下するのではなく、コンテンツそのものや、コンテンツの展開と拡売、およびそれによって生み出される利益がコンテンツ制作者や制作現場に近い会社に還流される仕組み、つまり制作者が継続的に育つ仕組みつくりに投下してこそ、クールジャパンを将来に渡って持続させることができるのである。(2021年9月・経産省での検討会の席上における映画監督・角山博満による意見陳述に基づく)
イメージマスター
フランス・ヴァンベニスト社が2028年に製造販売を開始した爆薬。安定性が高い上、起爆させた際の爆発力も極めて強力なので、主に軍用爆薬や可塑剤と混合したプラスチック爆薬の原料として用いられている。ただ、製造時に設備的な安全性を確保するため、敷地を広く取る必要があった。そのため同社は、国外にも何ヶ所か広大な敷地を持つ現地法人や合弁企業による製造工場を確保し、そこで生産を行った。しかし、同社の2032年の工場事故に伴う経営危機の際に、一部の海外工場が現地の別企業に売却されたり、合弁事業を解消して合弁相手に吸収されるなどして、その製法と製造設備が自社の管理の外に拡散してしまうことにもつながった。今回露見した大量の爆薬は、そのルートで拡散したものと思われる。ちなみに海外での認知度を上げるため、フランス語名ではなく、英語名が商品名として付けられたが、その後、同社以外の企業が生産している同等品も、通称としてこの名称で呼ばれるようになった。
完全吶喊ディガンマ
ファイン・ファミリアに実装されている昇華機構の一つで、ウィルウェア本体を、ガンマモードと呼ばれる状態に移行させ、急降下式飛び蹴りを浴びせるものである。これはただの落下と慣性に委せた浴びせ蹴りではなく、ファイン・ファミリアの売りであるユーザーフレンドリー思想に基づく打撃目標への誘導機能が備わっている。静止しているか低速で移動している対象に向けてなら、機体の各所に設けられたフィンやスラスターによる補正動作によって、その進路を修正することにより、驚異の命中率を実現することができる。まるで手ブレ補正である。
カルパヌバ公国
赤道直下の南海の孤島に存在する国。現在、軍事政権による独裁体制下にあり、その政情は安定していない。
どて煮
牛スジ肉やブタの内臓、こんにゃくなどを、八丁味噌や豆味噌などの味噌がベースとなっているタレで煮込んだ料理。彩りと薬味としてきざみネギを載せることもある。また、このどて煮と、これをご飯にかけたどて飯は、味噌文化圏と称される名古屋の人々にとってのソウルフードとも言えるかもしれない。ちなみに、このどて煮の発祥自体は大阪であるとする説が有力である。
伊勢うどん
うどん料理の一つ。たまり醤油に魚貝や海藻系の出汁加えた濃厚で黒くすらもみえる汁に、長時間をかけて柔らかく茹で上げた太いうどんを絡めて食べる。こちらもどて煮のようにきざみネギを薬味として載せることが多く見られる。
組対五課
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課の略称。その任務は違法な銃器犯と薬物犯の捜査や検挙等である。瀬名は警察庁に入庁し、警察大学校における初任幹部科での教育を経た後、警部補として警視庁の組対五課に配属となり、薬物犯捜査に従事していた。
チャフ
主にレーダーなどから発振される電波を妨害するために使用される、とても薄い金属や磁性体が塗布されたフィルムで作られた、小さな短冊や紙吹雪のようなもの。初期のものが、家畜に食べさせる干し草を切ったものやもみ殻に似ていたため、それを意味する英単語が転じて名称に使われるようなった。今回の運用では、遠隔操作装置が受信する電波を阻害するために使用された。
紫電清霜改
ウィルウェア用に統合自衛隊が開発した超長距離狙撃用ライフル。府中本町の工場に在庫されていたチャフが、このライフルから発射するための弾体であったことから、その射出のためにチャフと共に統自から警察庁に一時的に管理変えされた。

各話あらすじ

Introduction - イントロダクション

サミット開催に向けた「宇宙エレベータープロジェクト」が急ピッチで進む、首都・東京。
強化装甲<ウィルウェア>を使った犯罪に対処すべく創設された、警察庁警備局第五特別公安課第三機動強襲室第八係――通称<ダイハチ>は、ロゴスによるテロから日本を救ったことで、今や日本中の注目を集める存在となっていた。しかしウィルウェアを悪用した犯罪は、その後もエスカレートする一方……。新メンバーを迎えた黒騎たちダイハチの面々は、今日も知恵と勇気と口八丁、そして民間警察の協力を得て凶悪事件に挑む! 決裁完了、出動せよ!!

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